12月5日付の東奥日報の社説「国民本位の医療改革が急務」は本当に国民のための医療を考えているのだろうか。

国民医療費が増加し、医療保険制度が破綻寸前になっていることは確かなことでしょう。 しかし、それだからといって老人医療費を削減しなければならないのだろうか。

日本の医療費はGDP比6%、アメリカは12%です。ヨーロッパの国々はその中間です。東京の生活費は世界一と言われています。ということは日本では健康のために使っているお金は世界一少ないことになります。

私がアメリカに留学していた頃、メイヨー・クリニックの血液科の医師は1日8人の外来患者を診察していました。息子の3種混合の予防接種の時はwell-child担当の小児科医が30分かけて問診と診察を行い注射をしました。これで医師の生活が成り立つのです。

日本ではどうでしょうか。3時間待ちで診療は3分、予防接種は列をつくり簡単な問診票をさっと見て終わりです。どちらが優れた医療制度かという議論の結論はここでは出しません。しかし、医療にはもっとお金をかけてもいいのではないでしょうか。

医療システムの効率化はもちろん必要ですが自分たちの健康のための医療費を削減するのは間違っていると私は考えます。