医療といえども人間がやっていることですので、100%事故を防ぐことは出来ないと思います。しかし、いかに事故を少なくするか、起こった場合にはいかにして重大な結末に至らないようにするかと常に気を配っていなければなりません。開業以来5年間で私たちの医院での医療事故状況を分析すると「投薬に関する間違い」が最多でした。

医療事故は、

    1)個人の不注意による事故
    2)システムの不備
    3)医療従事者として低レベルの診療

この3つが原因として考えられます。私たちの取り組みからの結論は、究極的には個人の意識を変えるしか事故を少なくする方法はないということです。

これまでの対策を列記します。

    1)似た商品名の薬剤は使わない。
    2)含有量が違う薬剤は商品名が違う薬剤を採用する。
    3)抗生剤はキット製品を使う。
    4)薬剤には2人を配置する。
    5)ダブルチェックしてそれぞれサインする。
    6)間違い事例を記録として残す。
    7)繰り返し何回も職員に注意を喚起する。

このような処置により薬剤そのものの間違いは少なくなりました。しかし、数の間違いは時々起きます。薬剤が1錠や2錠足りなかったなどということはありません。処方した薬剤の1種がまったく投与されていなかった。4週間処方したのに2週間分しか処方されていなかった。このような間違いが起こります。これを改善するのが次の対策です。ちなみに、患者さんの数え間違い、後で見つかったなどの例もありました。

二人でチェックしても間違いが起こるのは不注意以外何ものでもありません。思いこみで点検していることが大きな原因ですが、これを改善するのは容易なことではありません。私自身も文字をはっきり書くなど注意をしていますが、処方の間違いを職員に指摘されることがあります。いくら注意しても現実には間違いが起こりますので、なぜ間違ったかを1例ずつ謙虚に検討して改善していくしかありません。そして何よりも大事なことは私自身も含め職員個人の意識を高めることです。