2023年5月1日から5月27日までの4週間、地域医療研修として沢田内科医院(以下沢田内科)にて研修を受け入れていただきました、黒石病院2年次研修医の菊池諒一です。出身は十和田市で、津軽在住歴は弘前6年+黒石1年と津軽弁にはまだまだ慣れておりません。しかしながら南部弁にも疎いので、今後県内どこで働くことになっても問診に緊張して臨むことになりそうです。特技は文字を読むスピードがやや速いことですが、反面同じ速さで話そうとしてしまい口がまわらなくなることがある点が積年の課題です。

 4週間の研修は、前半は主に直也先生の外来や検査を見学し、後半は一部外来での問診・診察を行いました。先生は逐一「なぜこの診察を行ったか」「なぜこの検査が必要と考えられるか」という根拠をわかりやすく言語化してくださり、とても勉強になりました。また、初診で来院した患者さんがご自身の症状についてどのように解釈し、何を心配事としていて、今回の受診に何を期待しているか、を診察の中で取り上げる重要性についても学びました。“症状に悩んでいる”だけでなく、“症状のせいでできないことがあって悩んでいる”、“一人暮らしだから悪化することが不安である”、“家族が症状を心配している”など、生活への影響や社会的背景が受診の動機になっている方が多くいることを改めて実感しました。

 今回の研修中、直也先生に胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコーを行っていただきました。先生による経鼻胃カメラは、過去に受けた経口胃カメラと比べてとても負担が少なかったです。また検査中に背中をさすってもらうとカメラの違和感に集中しなくなり、非常に楽に感じられるという体験は患者さんの視点になるという意味でとても貴重でした。大腸カメラについては初めて浸水法という入れ方を体感したのですが、不思議な感覚でした。腸管の内側は痛みや温度を感じないので水が入ってもなんともないのですが、水により冷えた腸を下腹部の皮膚が冷たさとして感じることで、まるで下腹部を水が流れているかのように感じたのです。腹部エコーでは脂肪肝を含め特に異常所見はなく、今度とも健康に気を付けようと思っています。

 話が脱線しますが、お笑いコンビ ティモンディの高岸宏之さんをご存じでしょうか。高校野球の名門済美高出身で、現在はプロ野球独立リーグで投手としても活躍されている高岸さんは、済美高校の校訓と同じ「やればできる」という言葉を持ちネタとしています。全力で応援するオレンジ色で長身な姿をテレビで目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。私は研修の合間の昼食時間に直也先生、美彦先生とご一緒し、研修の悩みや今後の不安についても相談させていただきました。先生方が駆け出しの医師だった時のエピソードを教えていただき、助言と激励を受けたことで、「やればできる」かはわからなくても「やるしかない」という心がけでこれから一所懸命に頑張ろうと思いを新たにしました。

 最後になりますが、丁寧にご指導してくださった直也先生、美彦先生、お忙しいにも関わらず優しく受け入れてくださった看護師さんはじめスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。また外来でお会いした患者さん方からも、医学だけでなく人間学としてもたくさん学ばせていただきましたことを心から感謝申し上げます。今後の研修も一日一日を大切に頑張ります。