コロナウイルス 7月16日現在、青森県では数名の感染者が出ていますが大流行に至っていません。何が奏功しているのかはっきりわかっていませんが、なぜか日本では他国に比べれば感染が抑え込めているようです。しかし、いったん流行してしまえばふだん当たり前のように受けられている医療が受けられなくなるのは確実ですし、高齢者にとっては命取りとなるリスクは変わりません。これで終わったわけではありませんし、この数ヶ月で得られた知見を活かして次に備えねばなりません。

 新型コロナウイルスの流行がはじまるまでは、医学的常識としてマスクは咳をしている患者さんがつける分には飛沫感染を防ぐ意味があるが、症状のない人がしても予防効果はないとされてきました。しかし新型コロナウイルスの感染力は症状が出る数日前から強い状態にある、つまり無症状の時からすでに人にうつす可能性があるようなのです。そのためマスクの効果が再評価されています。畑でひとりで働いているときはともかく、東京のような明らかな流行地に行くときや、たくさんの人と触れあう可能性のある場所に行くときにはマスクをする必要があります。

 また手洗い、アルコール消毒についてもこれまで以上に徹底されているのか、この冬はインフルエンザの患者さんが平年より少なくなっていました。これも習慣として続けていくことが大切です。

 弘前市の検査体制ですが、これまでの保健所を介しての検査以外に一般の診療所を受診された患者さんで医師が新型コロナウイルス感染を強く疑う場合にはPCR検査を受けられるようになりました。インフルエンザ検査のように鼻に長い綿棒を入れてグリグリして調べる検査の他、唾液をカップに溜めてもらって調べる検査もできます。唾液の検査は患者さんの負担も医療者の感染リスクも低く抑えることができます。血液検査で抗体を調べる検査もありますが、過去の感染の有無がわかるだけで現在の感染状況を調べるには適しません。

 前回のニュースレターでも強調しましたが、何より大切なのは持病をコントロールしておくことです。待合室での「密」を避けるためにいつもより長めに処方したり対応してきましたが、現在は医師二人体制ですので以前よりも待ち時間は改善されていると思います。流行がこないうちに相談しておきたいこと、検査しておきたいことは解決しておきましょう。

 最後に情報の取扱いについてです。テレビをつければ一日中新型コロナウイルスについてやっているので必要以上に不安が煽られているように思います。新規患者さんが出ているのはほとんどが東京などはるか離れた地域ばかりです。しょっちゅう県外への移動がある方は別ですが、今のところ玄関先を出ればすぐウイルスがいるかのように怖がる必要はないと思います。地方紙の新聞、コミュニティFM、青森県版のニュース等で自分が住んでいる地域の流行状況を逐一確認できるようにしておくことが大事です。