喫茶れもん

新寺町にちょっとおしゃれな『喫茶れもん』が引っ越してきた。 私が住む新寺町は東西に細長い、その名が示すようにお寺がたくさんある町です。江戸時代の1650年頃に現在の元寺町の大火でお寺が焼け、 今の場所へ引っ越してきたとのこと。いつから新寺町と呼ばれるようになったかは知りませんが、何と360年前にできた町が新寺町というのですから、 長い歴史がある弘前ならではの話ですね。弘前高校のある場所が1番地、私の住む所がその正反対側で樹木との境界だ。 『喫茶れもん』は私の家と反対側の弘高の前にある。

店内にはいつも静かなジャズが流れている。時々、小さなライブも開かれている。今回の研修医へのミニレクチャーはここで行った。 仕事での打ち合わせにもこれまで時々利用していた。 昔に比べて喫茶店が少なくなったが、こんなお店が近くに引っ越してきてくれ、私には幸せなことだ。 特に天気のいいウイークデイの午後、皆が働いている時に静かなジャズを聴きながらコーヒーを飲んでいる時は特に気分がいい。

先日、五所川原のエルムの街のスターバックスでコーヒーを飲んだ。しかし、雑踏の中で飲んでるようで落ち着かなかった。 それに飲み方が違う。アイスクリームのトッピングがのっているコーヒーらしい飲み物を注文した。 それでは飲もうかと透明なキャップを取ると、アイスクリームがくっついてきた。もったいないから、キャップについたアイスクリームをなめた。 しかし、周りを見回すと、キャップを取って飲んでいる人はなく、キャップの真ん中から太いストローを差し込んで飲んでいることが分かった。 あの熱いコーヒーもキャップを取らずに飲んでいた。車を運転しているわけでもないし、 ゆっくりキャップを取って香りを楽しみながら飲んだらいいだろうにと思いながら観察していた。 世の中の流れはこうなのかと雰囲気を感じながら居心地が悪いところだと思った。

一緒に注文したチーズケーキも食べ終わり帰ろうとした時、さて、飲んだ後は自分で片付けたらいいんだろうか、 それともテーブルに置いたままにして帰っていいんだろうか、分からなかった。 郷に入っては郷に従えですから、また周囲を見回してみた。どうも自分で片付けるらしい。それでは帰ろうかと、トレイを持って立ち上がると店員が、 「こちらでお預かりいたします」と手を差し出した。何だかホッとした。現実に帰ったような気分になった。 やはり、コーヒーは静かな喫茶店でゆっくり香りを楽しみながら飲んだ方がいい。

先日、喫茶れもんで「鈴木良雄&増尾好秋デュオ」のライブがあった。鈴木良雄さんのことは知っていたが、実は増尾好秋さんのことは知らなかった。 サインをもらい少し話をした時に鈴木さんはベースの弦を押さえる小指の先が異様に発達して太くなっているのを見せてくれた。 増尾さんのギターはエレキだが、指で直接弾いているので丸みのある優しい音を出していた。このライブの会場はほぼ満杯で30人ほどいた。 落ち合ったわけではなかったが知人が6人いた。向かいに座った人も高校時代の担任の親戚だった。久しぶりに生の音楽を味わった。 やっぱり気持ちに余裕を持った毎日を送りたいですね。