あらためましてこんにちは。新院長となりました澤田直也です。このニュースレターも前院長美彦に代わり引き継いでいくことになりました。院長として考えていること、沢田内科医院として新たに取り組んでいくことなどについてこれまで通り、隔月で発信していきたいと思います。このニュースレターの内容は沢田内科医院のホームページ(www.sawada-naikaiin.com)にも掲載しておりますので、スマホなどでもご覧になれます。内容についてはこれまで通り前院長美彦からの記事も継続していきます。

 また新たな試みとして当院の職員からの記事も掲載していきたいと思います。これは当院で働いている職員がどういう経緯で現在の職に就くに至ったのか。どんな思いで働いているのか。自分で文章を作ることによって、あらためて初心を思い出したり、社会的な役割に気づくことにつながると考えたためです。若い看護師さんたちにとっては先輩たちの知られざる思いに触れる機会になるかもしれません。そういう相乗効果も期待してはじめてみたいと思います。

指を挟んで数秒で測定できます。
95~100%くらいが正常です。

■新型コロナ対策のお知らせのこと

 この原稿を書いているのは5月15日。今年はいつもの春とは幾分違った春になってしまいました。弘前公園周辺や鍛治町は例年通りであればさくら祭りで賑わっているはずの時期ですが、しいんっと静まり返っています。4月上旬に青森県でも新型コロナウイルスの感染者が確認されました。連日の報道でご存じの通り、非常に感染力の強いウイルスです。本来は病気を治すために通院するはずの病院が、ウイルス感染の場になってしまうリスクがでてきてしまいました。安心するための場所が不安を強める場所になってしまっては本末転倒です。

 そのため先日、定期通院中の患者さん約2000人を対象に、当院の新型コロナウイルス対策のお手紙を送付させていただきました。要旨としては混みあった待合室での長時間滞在を避けるため安定している方は薬のみの処方としたり、長期処方にするという内容です。

 また、発熱など風邪症状の方は先に電話連絡をいただき、院内で動線を別にして別室診察にしたり、駐車場で車内診察するなどの対策を開始しました。新型コロナウイルスの特徴として聴診器を使って肺の音を聴いてもあまり役に立たず、肺炎の進行のわりに自覚症状に乏しく、血液の中の酸素濃度が低くなることがわかってきました。そのため駐車場ではパルスオキシメーター(写真参照)で血中酸素濃度の確認もしています。駐車場で処方後、自宅での様子について後日電話で確認させていただいています。

■5月中旬における青森県、津軽地方における新型コロナウイルスの現状
 5月15日時点においては当院を含め津軽地方で患者発生はありません。しかし八戸、十和田、青森においては患者が発生しており、いつ東京のように感染経路不明の方が多発するような事態になってもおかしくない状況です。マスコミでいろいろ報道されていますが今のところ特効薬はなく、ワクチン開発についても目途が立っておりません。

 医師会で新型コロナウイルスの検査センターをつくることや入院病床の確保等、各所で話し合いがもたれており今後、徐々に対策が本格化していくことと思います。この感染症に関してはその地域での流行の程度に応じて、対応を変えていかなくてはならないため情報分析が大事になります。

■オンライン診療(インターネットや電話を用いた診療)について
 今回の新型コロナウイルスの流行をきっかけにオンライン診療というものが保険診療で認められるようになりました。オンライン診療とは患者さんと医師が直接対面せず、インターネットの画面や電話を通して問診のみで診察、処方するシステムのことです。導入している医院のホームページなどでみてみると、処方箋はFAXでかかりつけの薬局に送られ、料金はクレジットカード払いとなるようです。

 新型コロナ対策の観点からすれば医療者と患者さんの接触を避けられるという利点があります。しかし問診だけでは診療の精度に限界があることが大きな欠点です。直接会って、触れて診察して得られる情報はかなり多いため、見逃しや誤判断のリスクは高いと思われます。再来患者さんで来院機会を減らすために電話で検査結果をお伝えするなどの対応は臨機応変に行っていきますが、電話診療だけでの初診は今後も行わない方針です。

■自分でできる新型コロナ対策とは?
 毎日テレビをみているとマスクのことや環境消毒のことについてはたくさん報道されていますが、まずは持病のコントロールをしっかりすること!これが最も大事です。これまでの状況でわかってきた重症化のリスク因子は高齢(60歳以上)、喫煙、気管支喘息、慢性疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症、心不全、腎不全)をもっていることです。各自目標値は異なりますが、通院中の病気のコントロールをよくすることが何より大切です。

 そして日々診療していて思うのは禁煙の重要性です。風邪が治ったあとに空咳だけが3~4週間も続く方がたくさんいます。こうした方の中には、タバコによる慢性気管支炎がベースにあるところに、ウイルス感染で気道の粘膜が荒らされて気道が過敏になってでている咳の方がいます。タバコを吸いながら気管支喘息を治療するのは、燃え盛る火に油を注ぎながら水で鎮火しようとしているようなものです。焼け石に水でなかなか治らないのです。新型コロナウイルス対策としてもこれを機に禁煙をすすめていただければと思います。おそらく終息するまで年単位の時間がかかると思われますので、「息切れをしないように」日頃から整えていく必要があります。

■足元をすくわれないように・・
 直接診察していない間に進行する他の病気についても警戒は必要です。診療機会が減るということは定期検査でそれらを発見する機会も減ってしまうということです。新型コロナウイルスが流行している間にも癌など加齢によって一定の割合で発生する病気は容赦なく進行します。新型コロナの自粛明けにたくさんの癌が発見されるおそれがありますので、これまで通り原因のはっきりしない体重減少や体調不良などは放置せず、まずは電話で連絡して相談していただきたいと思います。