弘前市の死亡データを見ると、肝臓癌で亡くなる人が年間約80人です。多くの人が、肝炎ウイルスによって肝臓癌を発症しています。これまで、弘前市では40歳の時だけ肝炎ウイルスの検査を行っていましたが、この4月から、40歳以上でこれまで検査を受けたことがない人に対象が拡大されました。青森県の制度を使うと40歳以上でも肝炎ウイルスの検診を受けることが出来たのですが、手続きが面倒で普及しなかったのが実情です。

2年ほど前から、C型肝炎ウイルスを飲み薬で治療することが出来るようになりました。しかも、副作用がほとんどなく、治療効果がほぼ100%という優れた治療法です。そして、B型肝炎も飲み薬でコントロールで出来るようになりました。

肝臓癌で亡くなる人が多いこと、肝炎ウイルスを治療することが出来るようになったことから、弘前市医師会では弘前市に対して、肝炎ウイルス検査を広く行い、肝炎ウイルスに感染している人を早く見つけて治療に結びつけることを提案してきました。

弘前市でも肝炎ウイルス対策の必要性を理解し、この4月から、40歳以上で、検査を受けたことがない人を対象に肝炎ウイルス検診を始めることになりました。特定健診や後期高齢者健診と同時に受けることが出来ますし、医療機関の請求事務なども格段に簡略化されました。

弘前市医師会健診センターの集計では、肝炎ウイルス検査は昨年1年間で22件行われていました。今年は、4月12件、5月117件、6月165件と飛躍的に検査件数が増加しました。これで肝炎ウイルスに感染していることが分かった人たちに対して、弘前市では毎年、受診状況を確認するフォローアップ事業を行なう予定です。この事業で、将来、肝臓癌で亡くなる人が少なくなることを期待しています。