6月22日は歓迎会でした。看護専門学校の学生がいるので、3月末には必ず歓送迎会をしますが、他の時期に開くのは久しぶりでした。今回は、事務の齊藤ひろみさんと看護師の棟方孝奈さんの2人の歓迎会でした。

齊藤さんはこれまで市内の病院や医院で医療事務の仕事をしてきましたが、6月から沢田内科医院で働くことになりました。それなりの年齢だからというわけではありませんが、経験豊富なので自然体で仕事をしています。最近は、特定健診やがん検診などを初めとして、書類の山の中で仕事をしているような感じです。事務職員は4人ですが、受付は看護職員が担当し、検査技師の宇野さんが事務を手伝っています。

棟方孝奈さんは、この3月に歓送されたのになぜ?っと思う人がいるかも知れません。そうです、3ヶ月前に青森県立中央病院へ送り出したんです。でも、戻ってきました。自分が思い描いたこととのギャップが大きかったようで、古巣に帰ることになりました。これから、糖尿病療養指導士などの勉強をしながら看護師として研鑚を積んで行く予定です。

歓迎会の参加者は30人で、他に夜勤の当番、そして非常勤ですが管理栄養士の木田さんと開業医としては大所帯です。自分が思っていることをやろうとした結果、多くの職員が必要になりました。

医師としての仕事、医療の仕事は、むずかしい言葉でいえば「自己否定」の職業です。自分の仕事がなくなれば、人は幸せに暮らしているということです。病気にならないで元気でいれば、誰も病院には来ないのですから。でも、医院の経営は、患者さんが来てくれなければ成り立ちません。いわゆる二律背反です。

患者さんを診ている時にどうしたらいいか迷った時は、患者さんが病院に来ないようにするのはどうしたらいいかを考えて決めています。その結果が正解のことが多かったと思っています。診察室の壁には、相馬のんきさんが書いてくれた、「もう、ご来院なさらないよう、努力なさってください。」という木板を下げています。

医院で診察する時は、自分が外来患者さんに接する時間を長くするために、自分がやらなくてもいいことは他の人に任せています。ですから、自然に職員の数は多くなってしまうのです。内視鏡検査は自分がやるしか方法はありません。でも、超音波検査は他の人ができます。検査技師の宇野さんが消化器超音波検査士の資格を取り、その役割を果たしてくれています。今は、澤田美紀子さんと相馬知香さんが超音波検査士を目指して訓練を続けています。糖尿病療養指導士も同じく、もっと時間を割いて指導するためのシステムです。高血圧や脂質異常症で通院している人たちも、もっと時間を割いて詳しく指導するために新しいことを計画しています。どれも、自分がやることをできるだけ少なくすると、かえって患者さんのためになると考えてやっていることです。

自分がやらなくてもいいことは他の人にやってもらう、患者さんが病院に来なくてもいいようにするためにはどうしたらいいか、つまり、自分が不必要になる状態を考えることを基本にすればいい方向に向かうと思いながら医院の経営をしています。でも、現実を考えると、患者さんが来てくれなければどうにもなりません。心の中では、まだまだ医師は世の中から必要とされているんだと考えているから、こんなことが言えるんでしょうね。でも、これは言えます、医療は自己否定の職業です。消防士、警察官、いろいろな職業にも共通します。