弘前市内のほとんどの病院は靴を履いたまま入ることができます。個人の医院でも、靴のまま入れるところが ありますが、大部分の医院ではスリッパに履き替えて入ります。しかし、誰が履いたか分からないスリッパを 履くのは抵抗があるものです。例え「消毒済」としても、生暖かいスリッパを履くのは気持ちがいいものでは ありません。

いわゆる「土足」と言っても、靴に土がついたまま入る人はいませんし、頻繁に掃除をすれば解決します。 しかし、冬の雪はきちんと落とすことができず、靴底についた雪が溶けて水になると床が滑りやすくなり、 けがをしないとも限りません。風除室から玄関を歩いている間に、靴底から雪を落とすことができないものか 考えてきましたが、どうしても解決方法が見つかりませんでした。

冬の雪を考えるとスリッパに履き替えることは避けられないようです。そこで、スリッパをきれいにする方法を 調べてみました。青い光で消毒する装置が広く使われているようです。しかし、院内感染対策で使用された 紫外線殺菌装置は効果がないことが分かり、今では使用されていません。それに、実際に確認したわけでは ありませんが、スリッパの中は光が届きにくいので消毒は不十分だと思いました。

もう一つ、例え消毒されるとしても、洗浄しているわけではありませんので、スリッパの汚れは取れません。 市販されているスリッパ殺菌装置の一番の欠点はここだと思います。内視鏡の洗浄の時も、予めブラッシングを してタンパクなどは除去してから洗浄と消毒を器械で行っています。ちなみに、私たちの医院では内視鏡の洗浄は 「強酸性水」を使い、検査が終わるごとに器械洗浄装置で行っています。

そこで、最も原始的な方法を採用することにしました。汚れを落として薬液で拭くことです。 どう考えても「消毒」を完璧にすることはできません。 それに、実際にスリッパを完全に消毒する必要もないでしょう。 むしろ、汚れを拭き取ったきれいなスリッパを気持ちよく履いてもらえればそれでいいのではないでしょうか。 ウイルスや細菌がスリッパで感染することはないでしょう。 水虫がスリッパで感染することは否定できませんが、スリッパをきれいにすることが 最も感染の可能性を少なくする方法だと思います。

3年位前から、サンデー、ホーマック、ユニバース、デパート、いろいろなところで雪に対してどのような対策を しているのか見てきましたが、医院には応用できませんでした。大人用120足、子ども用10足のスリッパを 用意しました。玄関から入って左側の靴箱からスリッパを取って履いて下さい。 使用後は元に戻さず、右側の使用後のスリッパを置く場所に返して下さい。 朝、昼、夕方と1日3回、スリッパをきれいにします。