ピロリ菌が胃癌の原因であることが分かっています。ピロリ菌がいなければ、胃癌になる可能性はほぼゼロです。ピロリ菌に感染している人が、治療しないでそのままにしておくと、一生の間に約10%が胃癌を発症することも分かっています。がん年齢で除菌治療をすると胃癌になる確率が約3分の1になります。そして、ピロリ菌の除菌治療を若い時期に行うほど、胃癌になる確率がそれだけ低くなることも予想されています。

弘前市では、毎年90人前後の人が胃癌で亡くなっています。胃がん検診を受けていれば、亡くならずに済んだ人はたくさんいると思います。亡くなっている人の数がこれ位ですから胃癌を発症した人は、この2倍も3倍もいるはずです。ピロリ菌を除菌すること、子どもにピロリ菌を移さないことで、この数字は限りなくゼロに近づきます。

弘前市医師会では、胃がん対策としていろいろな提案をしてきました。これに対応して、平成26年から弘前市では胃がんリスク検診を始めました。3年間の集計では、約3,800人が受診し、ピロリ菌に感染している人は40歳で約20%、55歳で約40%であることが分かりました。15年間で感染率が半分になっているのには驚きました。この事業は毎年継続し、ピロリ菌に感染している弘前市民が一人でも少なくなることを期待しています。

弘前市では、11月に中学2年生に対してピロリ菌除菌事業を開始しました。医学的なことなどはアドバイスしましたが、健康づくり推進課の担当者が細かい手順書を作成してくれました。他の市町村で似たような事業を行う時は手本になるほど細かく決めています。

今後、胃がんリスク検診と中学生のピロリ菌対策を進めて行くと同時に、20歳から40歳の市民、保育園での保育士のピロリ菌対策などを進めて行く予定です。