私は辞書が改訂されるとすぐに買ってしまう癖があります。『新明解国語辞典』については以前にニュースレターで書いたことがあります。今回、『ジーニアス英和辞典(第4版)』が改定されました。 『ジーニアス英和辞典』の初版は1988年です。 私が大学病院から県立中央病院へ転勤になった年でしたので記憶にあります。 それまでは、『新英和中辞典』を使っていました。 この辞書は、高校入学時点で推薦されていたもので、20年間愛用していました。

『ジーニアス英和辞典』が出版された時に、この辞書が他と違うことがすぐに分かりました。 それは、英語の知識が少しある日本人のための辞書だったからです。 私は、昭和57年から59年までアメリカで過ごしました。 このため、日常使われている英語について細かな知識が増えていましたので、 この辞書の優れている点が分かったのです。

例えば、『ジーニアス英和辞典』で、「list」を引いて見ます。当然、「リストに入れる」、 とか、「一覧表にする」、などと日本語訳が書いています。 そして、これが特徴なのですが、「list up とはいわない」と書かれています。 つまり、その他にも、日本人が間違いやすいことがたくさん書いてあるのです。 「list up」というのは、私がアメリカで間違って使ったことがある単語でした。

それ以来、『ジーニアス英和辞典』を愛用しています。 『プログレッシブ英和辞典』などの改訂版は、『ジーニアス英和辞典』と同じ編集方針になりましたし、 伝統のある『新英和中辞典』も似たような内容になってしまいました。

最近は特徴のある辞書が何点か出ています。 『Eゲイト(E-Gate)英和辞典(平成15年初版)』もその一つです。 一般の辞書では、「hear」も「listen」も日本語では「聞く、聴こえる」です。 日本語で、「耳を傾ける、聞こうと努力する」などと説明があります。 ところが、『E-Gate英和辞典』では、それを絵で説明しているのです。 「on」と「above」も、日本語では「上」ですが、『E-Gate英和辞典』ではその違いをはっきりと絵で説明しています。 中学生や高校生で英語の初心者には非常にいい辞書だと思います。

『ジーニアス英和辞典(第4版)』では、 前置詞に関して『Eゲイト英和辞典』と同様に絵で解説した語がたくさんあります。 また、語法や類語比較など、読む部分がたくさん増えました。読むのが楽しみです。 ただし、辞書は文字が小さいため、メガネなしでは読めなくなってしまいました。 ちなみに、私は中学時代には英語の辞書は持っていませんでした。 教科書の後ろに単語の意味が一覧になっていたので、辞書は必要がなかったのです。 そして、それで間に合ったのです。のどかな時代だったのですね。