市販されているもの、あるいは職場で配布された抗原検査で陽性になったという問い合わせがよくあります。また唾液のPCR検査もある中で、なぜ医療機関では痛い思いをしてまで鼻の奥から検体をとるのかという疑問もあると思います。

 基本的な考え方として信頼度は抗原よりPCR検査が優ります。PCRの方がウイルスの小さな断片まで反応して検出します。またウイルスが直接くっついている場所からとる方が信頼度が上がります。鼻の奥ののどの粘膜がそこにあたります。唾液や鼻水の検体ではある程度ウイルスが増えて細胞から出てきてからでないと検出することができません。鼻の奥に綿棒を入れるというのはなかなか抵抗があると思いますが、せっかく検査をするからには信頼度の高い検査をする必要があるため小さい子でも頑張ってやってもらっています。

 1回コロナ陽性になった方が、もう一度PCR検査で陽性になることがあります。こういう場合、考えられることは2つです。ひとつは別の型のコロナウイルスに再度感染した可能性。この場合は再感染として保健所に届け出て10日間の自宅療養していただきます。もうひとつは1回目に感染した時のウイルスの残骸が残っていて、それを検出して陽性となった場合です。この判断は難しくなります。以前陽性となったときからの経過時間、現在の症状や周りの人の感染状況などを総合して判断することになります。ただ単に検査をすればいいというだけでなく、そこに医師の判断が入る。そこにコロナ診療の難しさがあります。