「まぶた、瞼」のことである。蚊に刺されて「まぶぢ」が腫れてしまうと、「まなぐ」あるいは「まなご」が見えなくなる。 一重まぶたのことを「ふとまぶぢ」、二重まぶたのことを「ふたまぶぢ」という。 このことから考えると、「まぶぢ」は目縁であり眼瞼全体ではなく、目のふちを指すのが本来の意味であろう。 「ふとまぶぢ」はまた、夜、一睡も出来なかった時にも使われる。 胃内視鏡検査は患者さんにとって苦痛をともなう嫌な検査の一つのようです。

しかし、実際に自分で経験してみると意外に楽で、眠られないほど心配して損をしたというほどの意味で、 患者さんは「あんつこであんつこで、朝までふとまぶぢもさえねしてあった(心配で心配で、朝まで一睡もできなかった)」と 言うことがあります。 この中では、まぶたを一回も閉じなかったという意味で「ふとまぶぢ」という言葉が使われています。

ちなみに、不眠を訴える患者さんは、翌朝回診すると、「夕べは、一睡も出来なかった」とよく訴えますが、 看護婦が夜に巡回した時はいびきをかいて眠っていることが多いものです。きっと、眠ったことも忘れるく らいぐっすり眠っていたのでしょう。