約25年の間に診療内容がかなり変わってきました。思いつくだけ書き出してみます。

1)入院の変化
沢田内科医院を開業したのが平成7年10月でした。ベッド数が19床でした。すぐに入院は満杯になりました。胃潰瘍や十二指腸潰瘍での出血、大腸からの出血、腹痛、急性肺炎、いわゆる急性期の病気で入院する人が大部分でした。血液疾患の患者さんの入院も結構ありました。これに対して、現在は様変わりしています。食べられない、めまい、不安など、大きな病院にお願いするにはちょっと気が引ける。しかし、自宅に帰すわけにもいかない人。介護施設に入所した方がいいが、施設が見つからない、このような人が多くを占めています。高齢者の肺炎も多くなりました。入院ベッドを持つ開業医の役割がすっかり変わってしまったということです。


2)ピロリ菌
胃と十二指腸潰瘍での通院が極端に減りました。これはピロリ菌の除菌で潰瘍の再発がほとんどなくなったことが原因です。以前は、潰瘍を繰り返し、再発予防のために薬を延々と飲み続けていましたが今は違います。潰瘍のために新患で受診する人が減ったことも確かです。いかにピロリ菌対策が大事であるかの一つの証拠です。胃がん対策としてのピロリ菌除菌の効果が現れて胃がんが減るというのはこれからのことです。臨床の現場でそれを実感するのは若い人たちに任せて、私は数字が減って行くという事実でそれを感じたいと思っています。


3)胃内視鏡検査
胃がんの診療では、以前は早期の段階で診断し、手術をして治療するのが普通でした。しかし、現在は、より早期の段階で診断し、お腹を開けて胃を切除して治療するのではなく、胃内視鏡で胃がんを治療できる段階で見つける時代になりました。胃内視鏡検査は太い管を口から入れていましたが、平成18年2月から鼻から内視鏡を入れて検査ができるようになりました。太い内視鏡に比べて画質は落ちると言われていますが、それほど違いません。それよりも患者さんが楽に検査が受けられることが優先です。とにかく、検査を受けてくれなければ胃がんを診断することはできないのですから。この新しい内視鏡が発売になる前に注文し、発売と同時に手に入れて検査を開始しました。検査自体が楽ですので検査時間が少し長くなっても患者さんの負担はそれほど増えません。胃の中を水できれいに洗うようにすると、細かいところまで観察できるようになりました。


4)糖尿病の治療
糖尿病の治療が大きな比重を占めるようになりました。私が勤務医の頃は、インスリンの種類も少なく、飲む糖尿病の薬も何種類かしかありませんでした。また、自分が治療に関与した糖尿病患者数自体も今のように多くはなかったと思います。ところが、糖尿病患者さんの数は多くなり、特にここ10年は注射薬だけでなく飲む薬がすごく増えました。また、認知症患者さんが多くなるに従い、低血糖を起こさないように治療薬を選択するなど、糖尿病の治療は様変わりしました。


5)糖尿病療養指導士
私は糖尿病専門医ではありませんが、患者数は約600人となりました。糖尿病の治療が大きな比重を占めるのが分かりましたので、看護師たちは日本糖尿病療養指導士の資格を取得して指導にあたっています。現在、日本糖尿病療養指導士は4人、青森県地域糖尿病療養指導士が1人です。この数は、糖尿病を扱っている大きな病院とほぼ同じです。糖尿病外来と称して、管理栄養士が食事指導を行い、糖尿病療養指導士は、神経障害や血管、眼底検査を行っています。血糖と糖尿病の指標であるA1C値は診察前に検査をしています。眼底鏡は開業の時点で購入していましたが、その他のことは糖尿病患者数が増えてきたために体制を整えたものです。


6)大腸がん
大腸がんは症状が出てから見つかると、ほぼすべてが進行がんです。早い時期に見つけると内視鏡治療ができます。弘前市の死亡統計を見ると、胃がんが減っているのに対して大腸がんは増えています。沢田内科医院では大腸がん検診で年に約10人の大腸がんが見つかっています。大腸がんが増えますので、大腸がん対策に力を注いでいかなければなりません。今でも大腸内視鏡検査は痛いものだという噂が絶えません。肛門からあの内視鏡を入れるのですから、引っ張られる感じやお腹が張る感じはありますが、痛みを我慢させて検査をすることはありません。


7)腹部超音波検査
超音波検査は自分ですべて行っていましたが、現在は宇野洋子さんと澤田美紀子さんが行っています。超音波検査士という制度がありますが、医師ではなく、臨床検査技師や看護師が検査をするようになっています。平成22年から宇野洋子さんが検査を担当しています。超音波検査士の資格取得のために平成17年から5年間、毎年約1,200件の検査を私がすべてチェックして宇野さんの研修を行いました。現在は、澤田美紀子さんが研修中です。現在、超音波検査は年に約2,000件行っています。


8)車いす
開業した当時は、車いすで受診する患者さんは1日に一人いるかどうかでした。今は、処置室で診察の順番を待っている人が必ずいます。こんなに多くなることは開業当初は考えていませんでした。自分が診察するスペースを作る時に、車いすでの診察がスムーズに行えるように改造する予定です。散歩が嫌いな人には、「手と口は最後まで動くけど、脚は動かなくなるから、散歩しましょうね」と口を酸っぱくして言っています。ちなみに、65歳を過ぎた男の人には、「65を過ぎたら、奥さんの言うことには逆らわないで、ハイハイと言った方がいいですよ、将来のために!」と。


9)高血圧と脂質異常症
患者さんの数が増えました。そして、これらに対する飲み薬の種類が増えたのも特徴です。心疾患、脳血管障害は日本人の死因の第2位と第3位です。もちろん第1位はがんです。この中で心筋梗塞と脳梗塞の原因になるのが高血圧と脂質異常症です。この2つの病気に対して新しい薬が手に入るようになりました。開業当初と比べて、1日1回服用すればいい薬が使えるようになったことも治療を継続するには便利になりました。


10)看護師の数も増えました
平成7年に開業した時、看護師は7人で開始しました。現在は、看護師が9人、看護学科学生の准看護師が8人、准看護学科学生で看護助手が1人と2倍以上になりました。これは、通院する患者さんの数が増えたことにもよりますが、診療内容がそれだけ複雑となったためです。これからも提供する医療内容によって必要数が変わってくるかも知れません。


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