3月下旬、西目屋村の長利教育長から、西目屋小学校が文部科学大臣賞を授与されると連絡を受けました。これまでの読書活動が評価されてとのことで、そう簡単にもらえるものではなく、大変名誉なことだとすごく喜んで報告してくれました。弘前市教育委員会に確かめてみると、現在の職員の記憶の限り、市内の小中学校で受賞したことはないとのことでした。

平成18年に、西目屋村の子ども達に本を読む機会を与えようと、西目屋中学校に図書費を寄付することを提案しました。その頃は、沢田内科医院の看護師の教育を行っていましたし、弘前大学医学部の新人医師の教育にも関与していました。自分の子ども達の教育がほぼ終わったこともあり、そろそろ西目屋村の子ども達のために何か役に立つことができないだろうかと考えていました。

まず、本を読むきっかけを与えたかったのが第一の動機です。無理に読ませて本が好きになることはありません。読後に感想を書くことを考えながら本を読んでも本は好きにはなりません。手に取った本が気に入ったら、そのまま家へ持って帰ってもいいし、場合によっては返さなくてもいいとも思っていました。

中学校の先生方には、無理に本を読ませないこと、読後感想を書かせないことを条件としました。この他に、本に記号や番号を付けて管理しないことも考えていたのですが、これは教育現場としてはふさわしくないとのことで引っ込めました。

私自身は本からたくさんのことを学びました。自分の進路も、本を読んで世の中のことを考えるようになったことで決めることができました。そこで、西目屋村の子ども達にも、本を読んでいろいろなことを知り、自分がどのように生きて行くかを考え、そして、そのために自分は今、何をすべきなのかを考えて欲しかったのです。

こういう思いでしたので、中学生を対象にしました。しかし、その後、小学校でも読書活動が盛んになりました。西目屋小学校では本に触れる機会が多くなるように、図書室だけでなく、各教室、廊下、多目的ホールなどいろいろな所に本が置いてあります。今では、小学校低下学年で、年間100冊も読む子どもがいるというのです。もちろん薄い本ですが、驚きです。読書熱は、たしろ保育園まで広がっています。山内園長先生によると、保育園児が本を読むのではなく、保育園に来た保護者が保育園から本を借りていくのだそうです。図書室ではなく玄関にある本棚から借りて行くのだそうです。

沢田内科医院の職員は、漢字検定4級の問題集を利用して漢字を勉強しています。ただし、漢字検定自体は受けていません。西目屋小学校前校長の福井先生が健康診断に来た時にこのことが話題になり、西目屋小学校でも漢字検定を取り入れました。そして、子ども達の漢字検定受験料は西目屋村の予算で払ってくれています。話を聞くと、学校で習う漢字以上の級を受ける子ども達がいて、教科書とは関係なく漢字の勉強に取り組んでいるようです。振り仮名を付けて貰わなければ読めないキラキラネームも小学校3年生にもなれば自分の名前は漢字で書けます。漢字を覚えるのも簡単だとか難しいではなく、やる気があるかどうか、必要かどうかで決まるんですね。

このことを陸奥新報が書いてくれました。ちょっと長めの記事ですが、読めるような大きさでニュースレターに載せます。