国民医療費は年間34兆円と言われていますが、どんな内容なのかは知らない人が多いと思います。詳しい内容が明らかな平成18年度の国民医療費は33兆円でした。これを使って説明します。

まず、お金の出所から医療費を分析してみます。国民医療費が33兆円だと言いながら、すべてを国が出しているわけではありません。大きく三つに分けられています。つまり、公費負担、保険料負担、自己負担です。公費負担は、国の負担金と市町村など地方自治体の負担金で、この合計は約12兆円です。保険料負担は、事業主と勤め人が半々で払う保険料と国保加入者などの保険料が16兆円です。その他が自己負担など約5兆円です。これを見ると、患者側が負担しているのが3分の2です。税金から支出されている公費負担は3分の1だけです。

次に、支出先である診療種類別に医療費を見てみます。内科や外科など一般医療費が25兆円、歯科医療費が2.5兆円、薬局調剤医療費が4.7兆円、その他が1兆円です。一般医療費を入院と外来に分けてみると、入院が12兆円、外来が13兆円です。病院と診療所別では、病院が17兆円、診療所が8兆円です。診療所は外来がほとんどですから、いかに入院に医療費がかかっているかが分かります。

これを使う患者数はどれくらいでしょうか。3年に1度、傷病などの状況を把握するために受療状況が調査されます。それによると、ある1日の入院患者数は146万人、外来患者数は709万人です。入院は95%が病院に、5%が沢田内科医院のような医院に入院しています。外来は、病院が26%、診療所が56%、歯科が18%です。大病院へ患者が集中しているとはいいますが、184万人が病院へ、400万人が医院へ、128万人が歯科医院へ通院しているのです。

青森県の人口は140万人を切りましたが、日本では青森県人が全員入院しているような状況です。アメリカは刑務所に入っている人が仙台市の人口と同じ位のようですので、これに比べると健全な国ですね。

私たち開業医が働いている診療所の医療費は33兆円のうち8兆円だけなんですね。開業医から勤務医へ診療報酬を振り分けることで医療崩壊を食い止めましょうという主張もあります。しかし、開業医の報酬を10%減らしても、8000億円にしかなりません。開業医の収入が20%も減れば倒産するところがたくさん出ると思います。多分、沢田内科医院も現在の体制は維持できません。ということは、開業医から勤務医へ医療費を移すと、さらに医療崩壊が進むことになります。

ここで分かることは、政府は33兆円の医療費を抑制しようとしますが、国と県市町村が負担しているのは、12兆円だけだということです。他の21兆円は、保険料として国民が払い、事業主負担として企業が払い、さらに自己負担で国民が払っているのです。実際の持ち出しは、33兆円のうち12兆円ということで、国自体は、もっと少ないことになります。国民は自分たちが自分たちのお金を使っているのに、補助金を出す国が大きな顔をしてそれを少なくしようとしている構図です。払うお金は少ない方がいいのでしょうが、自分たちの健康を守るためにどのようにお金を使ったらいいのか、一人ひとり考えてみましょう。

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