私が中学校まで過ごした西目屋村では、長寿のお祝いとして100歳になった人に100万円を贈る事業を始めた。しかし、100歳に達する人はなく、現実的な方法として88歳に20万円、95歳で30万円、100歳で50万円と合計で100万円を贈ることに変更した。

檜山さんは2年前に入院し、意識不明の状態から奇跡的な生命力で回復した。今でも「入院している時は世話になったの~ォ」と大きな元気な声で来院する度に看護婦にお礼を言っている。その檜山さんが88歳になったのでお祝い金を20万円もらいました。何人もいるお孫さんなどに全部分けてしまい、自分にはほとんど残らなかったと話していました。

外来で心臓の音を聴きながら「私も少し分け前をもらわないと・・・・」と言いました。普段は耳が遠い檜山さんでしたが、これは聞こえたらしく、次の来院時に大きな箱に入れた和菓子を持って来ました。それもいつもは火曜日に受診するのですが月曜日です。弘前市の和菓子の老舗、開雲堂は火曜日が休みだからと言うのです。私は「檜山さん、今度は30万円をねらいましょう」と言ってその日の診察は終わりました。

小さな内科医院ですが、こうして喜んでくれる患者さんがいることで仕事のやりがいを再確認させられます。