地域や職場で健康診断を受ける機会が非常に多くなってきました。肝炎ウイルスの検査も加わり、健康診断の項目も、だんだん複雑になってきています。ただ、健康診断を受けても、受けただけの方も少なくありません。私は、健康診断を受ける場合には、癌に関係する検査を優先的に受けることを勧めています。

特に、バリウムによる胃癌の検診、大腸癌を見つけるための便潜血反応、子宮頸癌検診、X線を併用した乳癌検診などは年に1回は必ず受けることを勧めます。検診を受けるということは、見つかった場合に、手術などで治療すると助かるということが前提です。

「年1回」というのは、見つかった場合に治療すれば助かるからというのが理由です。胃癌の検診を例に取ると、2年や3年の間隔で検査を受けた場合に、すでに進行癌となって転移があり、治療しても助からない場合があるということです。胃の検査を年に1回受けていると、ほとんどの胃癌は「早期癌」の段階で見つかります。早期胃癌は手術をするとほとんど助かります。他の癌についても、年に1回検査を受けていると、手術をして助かる段階で見つけることができます。もちろん、それよりも間隔が長くても早期に見つかりますが、進行して見つかることがあるということです。癌検診の賞味期限は1年です!!

現在の日本の制度では、健康保険を使った診療では、予防的な検診を行うことができません。しかし、何か症状がある人、癌があるか心配でしょうがない人などは、癌を疑って検査をすることができます。また、弘前市から委託された胃癌と大腸癌の検診は私たちの医院でも行っています。癌が心配な人はご相談下さい。子宮癌や乳癌などについても、専門的な診療ができる病院を紹介しますのでご相談下さい。