小学校1年生で習う「一つ」を2年生の3割が書けず、5年生で習う「支持」の「支」を書けた6年生は1割足らずだった。こんな漢字の読み書きに関する実態が日本教育技術学会の調査で分かりました。「読み」、「書き」ともに、日常生活で使用頻度が低い漢字は正答率が低くなる傾向にあり、同学会は宿題だけでなく、授業で指導する重要性を指摘しています。

常用漢字は1,945字ありますが、小学校6年間で読み書きができるように勉強する漢字、これを配当漢字というのだそうです。私が子どもの頃に教育漢字といわれていたものと同じだと思いますが1,006字だそうです。配当漢字は学年ごとに割り当てられています。「読み」の正答率は全学年で92%を超えたものの、「書き」の平均正答率は小2が89%、小4が71%、小6は65%に低下したという。つまり、学年が進行するほど「書く」成績が悪かったということです。

漢字学習を行った時間についてもクラスごとに尋ねた結果、約4割が授業ではなくほとんど宿題で行っていたことが分かりました。漢字を授業で練習した子は、ほとんど宿題で練習した子に比べ、高学年ほど「書き」の平均点が高かったという。授業中にクラス全員で筆順を声に出しながら指で字を書く「指書き」を行うと高得点になる傾向も見られたという。また、読書量が多い子ほど平均点が高く、テレビを長時間見る子の割合は小学校3年生から大きくなり、長時間見る子は漢字を「書く」力が低かったという。当然といえば当然の結果でした。

同学会の会長は、「4割近い子どもが漢字をもっぱら宿題で練習しているが、授業できちんと教えることが重要だ。」とコメントしていました。漢字は授業で教えるのではなく、家庭で習得しているとは驚きでした。私自身は100%学校で覚えました。小学校と中学校の頃は、家で勉強する習慣がなかったのでこれは確実です。私の子どもたちの母親に聞いてみると、「漢字ドリルで10回書いて来い、とか言われるので、家で勉強していた」とのことでした。

漢字の中には読めればいい字もあります。意思を通じるための道具として考えると、携帯やパソコンを使えば、漢字を確実に知らなくてもりっぱな文章は作ることができます。その時代で要求される能力は違ってきて当然です。しかし、国語はすべての学科の基礎となります。日常生活の基礎でもあり、思考の基礎でもあります。英語を小学校から教えることも必要でしょうけど、まずは日本語をしっかり教えて欲しいものです。中高校生にパソコンで文章を作らせるとどうなのかも知りたいところです。