根拠に基づく医療 (EBM)

ここ数年、EBM(evidence-based medicine)ということが言われています。日本語に訳すと『根拠に基づく医療』となります。つまり、個人の経験や勘に頼る医療ではなく、 それぞれの行為がきちんとした根拠に基づいて行われなければならないということです。 逆に言えば、これまでの医療が個人の経験や勘に基づき過ぎていたということです。 これまでの医療を否定しているのではありませんが、本当に患者さんのためになっているのかは 再検討しなければなりません。 そして、どこでも通用するしっかりした根拠に基づいた医療を行わなければなりません。

どこから根拠を求めるか

開業医が最新の医学情報を求めることは容易なことではありません。 しかし、インターネットがあるとかなりの程度まで可能です。 アメリカ医学図書館には、世界の医学情報がほとんど全て集まっています。そして、無料でインターネットで公開しているのです。 私も医院にいながら、自宅にいながらアメリカ医学図書館にある論文を読むことができます。 また、3ヶ月に1回更新されるUpToDateというインターネット上の教科書もあります。 ハリソン内科学という世界で通用する教科書もインターネット上で読むことができます。 しかも、印刷された教科書は数年に1回しか新しくなりませんが、インターネット上の教科書は刻々と新しい情報と入れ替えられているのです。 最先端とは言わないまでも、医学雑誌は数限りなくありますし、ビデオやCDでの教材もたくさんありますので、 開業していても日常診療に必要な情報には事欠きません。

インターネット情報の問題点

インターネット上で得られるこれらの優れた情報はほとんどが英語であり、 日本語でこれらの情報が得られる状況にはなっていません。 幸いにも私は日本語を読むのとほとんど同じ感覚で英語を読むことができますので、これらを利用することができます。 しかし、ここには問題があります。 日本の弘前に住む私たちの生活上で問題となる事がらに関して、妥当な答えが用意されていないことです。 これまでの日本の医学研究は病気の詳しい仕組みや診断に関しては力を注いできましたが、 治療に関する研究は非常に軽視されてきました。 患者さんを診察する上で欲しい情報は、病気の仕組みや診断に関することよりも、治療に関することが大部分です。 それが不足しているのです。

根拠に基づいた医療が最善の医療ではない

さて、最新の情報に基づいた医療がその患者さんにとって最善の医療かというとそうとも言い切れません。 特に、外国のデータがそのまま私たちに当てはまるかどうかも疑問です。 ですから、その情報が本当に患者さんのためになるかどうかを判断して診療に当たるところに私たち臨床医の役割があるのです。 患者さんの体の状況だけではなく、社会的な活動、家庭での状況などは千差万別です。 これらを考慮して治療方針を決めますので、同じ病気であっても、治療方法が違ってくるのは当然です。 実際の診療では、最新の情報を提供することはもちろんですが、これまでの私の経験と患者さんの希望を考慮して治療方針を決めています。

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