今年2月に鼻から入れる内視鏡検査を始めたことは、 ニュースレター32号(ホームページでは雑記帳2006.3.15)で紹介しました。 9月初めで7ヶ月が経ち、720人の患者さんに検査を行いましたので、状況をお知らせいたします。 結論からいうと、非常に楽に検査を終えることができるということです。

鼻から入れるということで、最初は抵抗がある人が少なくありませんでした。 しかし、終わってみると、鼻の方が楽だったという人がほとんどです。 最大の特徴は、嘔吐反射がないことです。通常の口からの内視鏡検査で、 最初から最後までゲーゲーしていた人でも、内視鏡が食道上部に入った時にちょっとオェッとなるだけです。 検査の最後まで嘔気があった人もいましたが、2人か3人です。 また、話をすることができますので、テレビモニターを見ながら、患者さんと受け答えすることも可能です。

鼻の手術をした人は、内視鏡が入らないのではないかと心配しますが、 むしろ手術した鼻の方が通り道が広く入りやすいことが多かったです。 また、鼻出血が予想されましたが、検査の後に出血を止める処置をした人はいませんでした。 目で見ながら入れますので、出血しそうな場所は避けることができます。 そして、通ってしまうと、内視鏡は滑りますので出血させることはありません。 ただ、内視鏡の先端が通過する時に痛いことがあります。 ちょっと狭い所を押し広げて入ることがありますが、ここも通過してしまうと痛みはほとんどなくなります。

私が経鼻内視鏡検査を始めたのに合わせるかのように、 テレビで経鼻内視鏡のことが繰り返し放送されていたことが私には助けになりました。 どんなものかテレビを見て知っていた人が結構いましたので、すぐに理解してくれました。 あとは、経験した患者さんが口コミで広めてくれますので、 経鼻内視鏡を希望して受診した患者さんが少なくありません。 鼻から入れる内視鏡の話をする時は、「今度の内視鏡は、飲まなくてもいいんですよ。」と言うと、 患者さんは「ほんとですか?」と。 私が、「そうです。今度の内視鏡は私が鼻から入れてやりますから、飲まなくてもいいんです。」と言うと、 患者さんは、「・・・・・・。」。

ちょっと抵抗を示す患者さんには、「話の種にもなりますし、だまされたと思ってやってみましょうよ。」と、 例のごとくだまして検査を行います。 終わってから、「どうでした?」と聞くと、「・・・・。まぁ・・・・。」、「すごく楽でした。」、 「毎年やってもいいです。」、「来月、もう一回やってもいいです。」、「口からとは全然違いますね。」、 「もう、終わったんですか?」、「ちょっと、鼻の奥が痛かった。」、 「昨日の夜は心配で眠れなかったけど、損してしまった。」、など感想はいろいろありました。

中には、「私、鼻が低いんでうまく入るか心配してたんです!」という感想がありましたので、 「低いとか高いは関係なく、医者は、穴さえあれば、何かを突っ込んで体の中を見ようとするんですよ。」 と話しました。 また、「腹の中を初めて見ました。きれいなもんですね。」と言いますので、 「カラーですけど、腹の奥深い所が黒いかどうかまでは分からないんです。」と解説しました。

「これまでのように、口からにして下さい。」という患者さんは、数えるほどでした。 特に、私が慣れてきた最近では、ほとんど鼻からを希望します。 ただ、30人に1人くらいですが、鼻の通り道が狭くて入らない人がいました。 経鼻内視鏡だと説明するとびっくりする患者さんもいますが、 最近では、ほとんどの患者さんは、「沢田内科医院の内視鏡検査は鼻から入れる」、 ということを承知で検査を受けに来ているようです。