講演する菅谷昭先生

チェルノブイリ原発事故後に多発している甲状腺がん治療に関してベラルーシで医療支援活動を行っていた菅谷昭先生の帰国報告講演会が平成13年9月29日弘前市民会館で開かれました。夕方6時半からの講演会には約80人の方が参加して下さいました。菅谷先生は甲状腺がんの子ども達の手術だけでなく、ベラルーシの甲状腺外科のレベルアップに多大な貢献をし、さらには日本とベラルーシの子ども達の交流という医療以外のことまで活動が及んだことをスライドを使いながら淡々と話されました。話の中で、菅谷先生の活動がベラルーシの子ども達の生き方に大きく影響したことが分かりました。甲状腺がんで子ども達の人生が変わったことはもちろんですが、かなりの数の子ども達が医療関係の仕事に就くことを希望し、そしてその道へ進んでいることです。ベラルーシの人たちは菅谷先生から直接影響を受けましたが、日本で支援している私たちの意識も大きく変えました。

近著、「チェルノブイリいのちの記録」と菅谷先生のサイン

これからは、ベラルーシの医学教育支援、汚染された地域での生活がこれからも続きますので低線量被爆の将来的な影響、すでに作った拠点を中心に検診を継続することなど、今後もベラルーシへの支援を続ける予定であるとのことでした。弘前市の「菅谷医師とベラルーシの子ども達を応援する会」は菅谷先生がベラルーシで活動する間という期間限定で始まりましたが、今後も継続することになりました。2003年には「パレースカヤ・ゾーラチカ」公演のためベラルーシの子ども達を再び弘前に招待する予定です。なお、菅谷先生は田中康夫長野県知事の要請で役人になり、長野県のために働くとのことでした。(雑記帳の「菅谷先生とベラルーシの子ども達」もご覧下さい

菅谷先生の医療支援活動に対して、内外から高い評価の声が上がっています。平成12年の読売新聞主催「医療功労賞」、平成13年4月には「吉川英治文化賞」が授与されました。平成12年にはベラルーシ共和国からは「フランシスコ・スカリナー勲章」が贈られましたが、外国人ではロシアのエリツェン大統領以来とのことで、大変栄誉ある勲章とのことです。さらに、平成13年4月には科学雑誌「Science」に菅谷先生の活動が紹介されました(Science. vol.292, April 20, 2001)。(チェルノブイリ医療基金のホームページも参照してください

「菅谷医師とベラルーシの子ども達を応援する会(弘前市)」の事務局メンバーと講演後の懇親会(前列左端が私、3人目が藤森代表、4人目が菅谷先生)