私を含めて漢字を書けなくなってきている人が多いと思います。私は職員がカルテを書く時に、間違った漢字を使っているとすぐに指摘します。自分自身が漢字に関して怪しくなっていますので、新しい勉強の方法として、漢字検定4級の本を使って、職員に漢字練習をしてもらうことにしました。井上婦長がペースメーカーとなり、私が指定した2人と希望する職員数名がやっています。

私は辞典を引くことが多い方だと思います。そこで、現在使っている国語辞典を紹介します。私が使っているのは次の3つの辞典で、それぞれの特徴があります。もっとも頻繁に使っているのは、「新明解国語辞典」です。視力が悪くなってきましたので、大きめの辞書を買ったのですが、手に取った時と実際に引く時の感触がしっくりしないので、やはり通常の大きさのものを使ってしまいます。

三省堂国語辞典(第七版)
新聞やネットで使われている実例を集め、カタカナ語から生活のことばまで新語がたくさん収録されています。最新の第七版では、「スマホ」や「ゆるキャラ」、「ゲリラ豪雨」などが新たに掲載されています。「いらっと」は「新明解」にはありません。「がち(で)」、「心が折れる」、「ブラック企業」などは他の辞書には載っていません。「半端ない」の解説には「1990年代に例があり、21世紀に広まったことば」と、20年以上も使われているということが書かれています。しかし、「明鏡」では「一般には避けたい」と書いています。「新明解」には項目がありません。こうした現代語を拾い集めているのが、この辞典の最大の特徴です。つまりこの辞典は、最近になって使われ始めた新しい言葉の意味を知りたい人に適しています。

明鏡国語辞典(第二版)
この辞典の特徴は「日本語の使い方」を解説していることです。日本語の使い方と誤用に相当のページを割いています。例えば、「正式の会員」「正式な会員」のどちらが正しいのか?どちらとも正しいのであれば、どう使い分けるのか?など、「の」と「な」の用法を詳しく解説しています。また、誤用と敬語がわかる別冊「明鏡 問題なことば索引」は、読んでいて面白い内容です。私自身は、普段、この辞典を使うことは少ない。

新明解国語辞典(第七版)
「新明解」の最大の魅力は、あまりにも人間的な解説です。通常の言葉の定義よりも、その言葉が実社会の中でどのようなニュアンスを伴って使われているのか、ということに関しては、この「新明解」が抜きんでています。例えば、「実社会」の語釈として、「実際の社会。美化・様式化されたものとは違って複雑で、虚偽と欺瞞とが充満し、毎日が試練の連続であると言える、きびしい社会を指す」と解説しています。このような解説が至るところにたくさん載っています。前にもニュースレターで紹介したことがありますが、「恋愛」などといった言葉がどのように定義されているのかを確認するだけでもすごく楽しめます。「新明解」が「読む辞典」として登場したのは、25年ほど前の第四版です。この第四版については「新解さんの謎」という本が出ましたが、解説が最も面白いのがこの第四版です。以後、「新明解」に興味を持った私は、第四版から第七版まですべて持っています。ある意味で、言葉をじっくりと味わいたい人にとっては最適の辞典です。