10月16日で開業して満15年が過ぎました。大学を卒業後、勤務医として18年、平成7年に開業してから15年、合わせて33年です。幸い健康に恵まれ、大きな病気もせずに仕事を続けてきました。実は、33年の間に体具合が悪くて勤務を休んだことが2回だけありました。『先生は病気をしないんですか?』という人がいますので、私も具合が悪くなることがあるということを書きます。

最初は、大学を卒業して1年目でした。お腹が痛くて、指導医だった清野義郎先生に、「お腹が痛くてダメなので、帰らせて下さい。」とお願いしました。その時、清野先生から、「ちょっと来い。」と別室へ呼ばれました。清野先生はいつもの口調で、「沢田、お前、勘違いしてるんじゃないか?」と。私は、「・・・・・・?」。清野先生は続けて、「患者さんはみんな、腹が痛いから病院に来るんだ。それをお前は、腹が痛いから家に帰ると言うのか。」と。そして、胃の検査のために透視室へ連れて行かれました。透視台に載せられてバリウムを飲まされ、「右第1斜位30度」などと言われても、どっちを向いたらいいのか分かりません。現像したレントゲン写真を見ながら、清野先生は、「神経は太いようだな。」と。見ると、胃のひだがすごく太かった。結局、家へは帰らなかったのですが、仕事は休みました。今は亡き清野先生の思い出です。

2回目は、青森県立中央病院時代です。学会からの帰り、飛行機から富士山が見えた時に、キューンと耳に痛みが走りました。その時は耳が詰まった感じだけでしたが、青森に帰ってから耳が痛くてどうにもならなくなりました。中耳炎でした。鼓膜を切開してもらい、初めての自宅療養でした。今は弘前市内で開業している耳鼻科の先生から、「鼓膜切開して、まれに穴があいたままの人もいるんですよね」などと切開してしまってから言われましたが、痛みは軽くなりました。耳が痛いと集中力が全くなく、新聞や本を読むことができず、ラジオも音が頭に響いて聞いていられませんでした。24時間ずっと眠ることもできませんから、ベッドの中で痛みをこらえながらただ時間が過ぎるのを待つだけの数日でした。

開業した後は、幸いなことに健康を害して休んだことはありません。ただ、「患者さんよりも私の方が具合が悪いな」、と思いながら診察していたことは何日もありました。医師になって33年、私の医師としての人生も最終コーナーです。気力は十分あるのですが、体力がどこまでついてくるかが問題です。これからは、5年程度を一区切りに目標を掲げて続けるつもりです。あと何区切りあるのかなぁ・・・・。