秋田県で救急救命士が気管内挿管を行っていることが分かり、これは違法なので救急車から挿管のための道具一式を降ろしたという。 気管内挿管は医師にしか認められていない医療行為だからだという。その後、山形県や青森県でも同様の事例があることが分かり、同様の処置がとられたようです。人の命を助けるために行われ、現実に助けられた人がいるという行為が、法律に違反するから止めさせられるというのはどういうことでしょうか。

さて、気管内挿管といってもどんなものか想像がつかない人がいると思います。外傷や脳出血、気管支喘息重積発作など重症な病気の場合には病院に着く前に呼吸が止まってしまうことがあります。その時に、口から気管に細い管を通し、呼吸ができるようにします。これを入れると人工呼吸が簡単にでき、十分量の酸素を肺に送ることができます。また、嘔吐した場合でも吐いた食べ物が気管や肺に入らないという利点があります。これを気管内挿管といいますが、気管を傷つけたり、気管ではなく食道に入れたまま空気を送ってしまうということが起こりえます。

澤田美紀子さんが持っているのが気管内挿管用のチューブです。
私は西目屋村、美紀子さんの両親は相馬村出身です。

法律で医師にしか認められていないと言われていますが、医師であれば気管内挿管は安全にできるのでしょうか。救急救命士が気管内挿管をすることは本当に危険なことなのでしょうか。確かに意識がある患者さんに急いで気管内挿管をすることは確実に出来ないことがあります。
これはトレーニングされていればできることですが、医師であればみんながトレーニングされているかといえばそうではありません。むしろ、きちんとしたトレーニングを受けた救急救命士であれば不慣れな医師よりも安全に確実に挿管することができると私は考えます。

かなり前には、血圧を測ることが医療行為だと言われた時期がありました。しかし、今は自動血圧計もあり、一般の人たちが簡単に血圧を測っています。これと比べることは適当ではないかもしれませんが、医療行為の解釈は時代とともに変わってきます。気管内挿管は病院や救急車の中という特定の場所でしか行われません。きちんとトレーニングを受けた救急救命士が行うのであれば、一般の医師が行うよりも安全確実です。つまり、資格に関係なく、トレーニングを受けた人が行えばいいのです。現実問題として気管内挿管が必要な場面に出会うのは、救急救命士なのです。不備であれば法律を変えることです。人の命を助けるのに資格は関係ありません。