7月21日に全く新しい子宮頸癌を予防するためのワクチンを接種しました。子どもたちが住みやすい村を目指している西目屋村が全額負担して、小学6年生と中学1年の9人の子どもたちに接種したものです。初めて接種するワクチンですので、アナフィラキシー反応や迷走神経反応が起こらないか、細心の注意を払いながら実施しました。8月18日に2回目の接種を行いましたが、幸いにも、注射部位の痛み程度で問題となる副反応は起こりませんでした。来年1月に3回目を接種して今回の子どもたちに対しては終了です。

子宮頸癌の発生率は、50歳以上の中高年層ではこの20年間で順調に減ってきていますが、逆に20~24歳では約2倍に、25~29歳では3~4倍に増加しています。これは、子宮頸癌はヒトパピローマウイルスの感染が関与しており、性活動が活発な若い年代での感染の機会が増えているためと考えられています。

今回のワクチンは、『子宮頸癌予防ワクチン』と呼ばれていますが、正しくは、『ヒトパピローマウイルス感染予防ワクチン』です。つまり、子宮頸癌の原因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防するためのワクチンです。ウイルスに感染しなければ、結果的に子宮頸癌にかからないということです。理論的には、子宮頸癌を予防することになっていますが、実際にやってみなければ分からないのが人体です。このワクチンを接種された子どもたちが、今後20年、30年で子宮頸癌にならないことを確認しなければ、最終的な効果は判断できません。

ワクチンを接種した結果、予想もしなかったことが起こらないとも限りません。このワクチンに対応するウイルスの感染は防げたが、他のウイルスに感染しやすくなって、結果的に子宮頸癌は減少しなかったという結果になるかも知れません。このあたりはしっかり経過を追えるようなシステムにしておかなければなりません。

このワクチンは癌を予防できる最初のワクチンと言われています。しかし、もっと広く考えてみると、B型肝炎ワクチンも癌を予防できるワクチンです。B型肝炎ウイルスに感染していると、キャリアと呼ばれる症状のない状態から肝癌になったり、肝硬変になった後に肝癌になることがあります。また、インターフェロンで治療するとC型肝炎による肝癌も予防することができます。癌を治療することは簡単なことではありません。そして、治癒したと言われても、再発の不安は簡単には消えません。ワクチンやインターフェロンで癌を予防できることは画期的なことなのです。

子宮頸癌予防ワクチンは子宮頸癌の治療薬ではありませんし、定期的な子宮がん検診の代わりとなるものでもありません。ワクチン接種に加え、何よりも早期発見のために子宮がん検診を定期的に受診することが重要なのです。検診で早期の癌であることが分かれば、子宮を切り取らずに治療することも可能です。また、最近は、ヒトパピローマウイルスに感染しているかどうかが検査で分かるようになりました。

子宮頸癌はワクチンを使わなくても、検診で死亡数を激減させることができる病気です。婦人科の受診は敷居が高いものです。そのためか、子宮がん検診を受ける女性はまだ多くはありません。若い女性に発症する癌ですので、20歳以上の方は子宮がん検診をぜひ受けて下さい。

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