沢田内科医院ニュースレターを復刊します。これまでは2ヶ月に1回、年6回の発行でしたが、今後は1月、4月、7月、10月の年4回、季刊としたいと思います。

村松先生

2024年2月、弘前総合医療センター、村松凱斗先生

 途絶えていた理由としてはいろいろありますが、やはり入院病棟の閉鎖に伴う業務内容の見直し、体制の立て直しに注力したかったというのが第一に挙げられます。全職員と個別に面談し、問題点と個々の目標を確認しました。その上で医院の方針の再設定と働き方改革を行いました。入院病棟が存続できなかったのは痛恨の極みではありますが、今の沢田内科医院に求められているものをしっかり分析し、期待に応えられるようがんばっていきたいと思います。

 では沢田内科の役割とはどんなものがあるのでしょうか。私の中では大きくわけて4つあると思っています。

①健診

 一つ目は「健診(+がん検診)」です。弘前市の特定健診、後期高齢者健診を合わせると市内で行われている健診のうち約10%が当院で行われています。内視鏡胃がん検診についていえば市内全体約5000人のうち約1000人(20%)が当院での検診です。健診を行うことで、無症状の高血圧、脂質異常症、糖尿病を早期発見し、脳梗塞、心筋梗塞を予防することができます。また胃カメラでは毎年当院で一般診療と検診を合わせて約2000人が検査を受けて約20人が早期胃癌と診断され、全員大学病院で内視鏡治療をして完治しています。5年で100人もの方が胃癌で命を落とさずにすんでいることになります。

②急性期医療
菊池先生

2024年5月、弘前総合医療センター、菊池日菜子先生

 二つ目は発熱外来をはじめとした「急性期医療」です。発熱や腹痛、胸痛、めまいなど急に具合が悪くなったときにできるだけはやく「診断=症状に病気の名前をつけていくこと」を心がけています。採血検査は特殊なものを除き、即日院内で検査し結果を出します。コロナのPCR検査も当日結果が出ます。私は消化器内科出身ですので胃カメラ、腹部超音波検査、大腸内視鏡検査も必要に応じて即日検査をしています。心筋梗塞は弘大病院循環器内科、脳梗塞は弘前脳卒中リハビリテーションセンター、その他入院治療が必要な急性期疾患は弘前総合医療センターや健生病院というように、早く症状が改善するように適切な医療機関へ迅速に診療をつないでいきます。病棟を持っていたときは文字通り24時間365日、それをおこなっていました。病棟を閉めてからも時間制限はあるものの週6日間医院にアクセスできるように維持していきたいと思います。

③かかりつけ医

 三つ目は「どこにいったらいいのかわからない症状、どうしたらいいのかわからない患者さんをみる」ことです。わかりやすくまとめると「かかりつけ医」としての役割です。大学病院やその他の大きい病院では専門分化が進んでいます。別の言い方をすると、その分野とわかりさえすれば専門の医療を受けられるのですが、どこにいったらいいのかわからない場合はそこにたどり着くことができません。手のしびれといっても、それが内科的なものなのか、整形疾患なのか頭の病気なのかわからないと受診できないということです。他の病院でみてもらったけどよくならない、コロナ後遺症をみてもらうところがないなど様々な方が、この茂森新町の住宅街の中まで訪ねてきます。どこでどう治療したらいいのか、方針がしっかりつけられるよう一緒に考えられる場所でありたいと思っています。

④教育
石本先生

2024年10月、弘前総合医療センター、石本啓太先生

 四つ目は「教育機関」としての役割です。当院では弘前市医師会看護専門学校の看護学科、准看護学科の学生を受け入れ、一緒に働きながら看護について実践的に勉強しています。また医師国家試験合格後2年目医師の地域医療研修(1名で1ヶ月間)を受け入れています。弘大病院、弘前総合医療センター、黒石病院から1ヶ月ずつ毎年3~6名の研修医が勉強にきています。2024年も4名の先生方がこられました。大きい病院では経験することができない一般診療の研修をしています。また弘大医学部の1年生の臨床体験実習、東目屋中学校、第四中学校からは2年生が短期間の職場体験実習を行っています。私たちが提供している医療を中からもみてもらうことで、職業としての面白さや奥深さ、厳しさを体験することができます。また、看護師として働きながら糖尿病療養指導士や超音波検査士を目指して勉強している職員もいます。漫然と日々の業務をこなすだけでなく、目標を持って日々の診療を行うことで、医療の質の向上につながっていくと考えています。

 新生沢田内科医院として以上の4つの柱をモットーに、質の高い医療を提供していきたいと思っています。

奈良岡春希先生

2024年12月、黒石病院、奈良岡春希先生