11月9日から11日まで西目屋中学校2年生の福田珠未(たまみ)さんが沢田内科医院で職場体験を行いました。珠未さんは、「おたま」と呼ばれている明るい中学生です。

左から、小堀未希さん、おたま、井上真利子婦長

弘前四中からは毎年来ていますが、私の母校である西目屋中学校からは初めてです。
バレーボール部のキャプテンを務めていますが、何しろ部員が5人しかいないため、対外試合の時は吹奏楽部から部員を借りてきて出場しているのだそうです。

14歳の中学生がたった一人、知らない大人に混じっての3日間です。いつもの常ですが、患者さんを呼ぶ時には大きな声が出ません。しかし、さすがキャプテン、「もっと大きな声で呼ばないと聞こえないよ。」と言うと、その次からは遠くからでも聞こえるような声が出ました。それも初日にです。

さて、生身を相手にする医療機関での体験ですので、見ることやることがすべて初体験です。私たち医療機関で働くものにとっては日常茶飯事ですが、おたまにとっては未体験ゾーンです。まず、頭を打って傷口をホッチキスの針で縫った患者さんが来ました。この生きた皮膚に刺さったホッチキスを見たおたま、後で井上婦長から聞いたのですが、目を背けたようです。

外来患者さんの診察を介助している途中で、胃の内視鏡検査を一緒に行いました。鼻の穴から内視鏡を入れます。食道に入ります。続いて胃の中へ入ります。もちろん目に飛び込んで来るものはおたまにとっては初めてのものばかり。テレビ画面を見ながら説明して検査を終わりました。内視鏡を抜き終わったその時です。私の横で、おたまはグラグラと床に倒れてしまいました。

「女は男よりも度胸があって強い」、と思っている私の偏見は崩れてしまいました。中学校の先生をしている友人の話では、修学旅行で遊園地に行っても、ジェットコースターなどのスピード系の遊びは女子はキャーキャーと喜んで楽しむのに、男子はやらないんだそうです。これまでの職場体験でも、内臓を見て顔色が悪くなるのは男子だけでした。おたまが倒れてもここは病院です。ジュースを飲んでちょっと休み、すぐに職場体験は再開です。井上婦長も看護学生時代に、手術中にアキレス腱を見て倒れたそうですから問題ありません。

私は40年も前から珠未さんのおばあちゃんを知っています。おばあちゃんは、受診しなくてもいいのに、職場体験期間中に患者さんとして来ていました。きっと心配だったのでしょう。14歳の女子中学生の珠未さん、大人の中で大きな声を出しながらしっかりやっているのに、赤ちゃんの時から面倒を見ているおばあちゃんは心配でしょうがなかったのでしょうねぇ。

珠未さんは、薬剤師になることを希望していますので、医院の仕事の中でも薬局に興味を持っていました。薬をそろえたり、薬の袋に名前を書くという外から見える姿は薬剤師も中学生も同じです。でも、同じように見えながら、薬剤師が頭の中で考えている内容は、今の珠未さんが頭の中で考えていることとはまったく違います。患者さんのこと、薬のことなど、仕事の内容を知ることで、見た目が同じでもやっていることはまったく違うものになります。こんなことを話し合いながら今回の職場体験を終えました。弘前には薬学部がありませんので、どうしても西目屋から離れなければなりません。でも、薬剤師になった後は戻ってきて欲しいものです。