風邪をひいたために食べられず、点滴をしていた時のことでした。「点滴をすると、かえって体が寒くなる」、 と患者さんが言いました。点滴の液が冷たいので、体の中に冷たいまま入ってくるのが分かるというのです。 考えてみるまでもなく、寒気がある体にさらに冷たい点滴です、当然といえば当然のことでした。

輸血をする時は、冷たい冷蔵庫から出した血液をそのまま輸血すると、体温を下げることがありますので、 加温装置を使って輸血します。そこで、点滴バッグを暖めて点滴してみました。 もちろん、違いがないという患者さんもいましたが、ほとんどの患者さんに好評でした。 それまで、点滴バッグの温度は気にしていなかった患者さんでも、暖めた方がいいと気付いた方がいたようです。

調べてみると、暖めて点滴しているところはありました。 点滴の液を暖めるために、電子レンジを使っている医院さえありました。 お湯につけて暖める方法も書いていました。 電子レンジで暖めることまでは試しませんでしたが、お湯で点滴バッグを暖めるまでもなく、 室温に点滴バッグを下げて置くだけで適当な温度になることが分かりました。 そこで、私たちの医院では、室温で温めて点滴することにしています。

点滴液をダンボール箱から出して触ってみると、ちょっと冷たいものです。 特に、冬の間は冷たいものです。そして、風邪をひいて食べられず、点滴を必要とするのも冬に多いものです。 部屋と同じ温度にするだけで、冷たさがなくなります。 このニュースレターを読んでいる医療関係の方は、一度試してみて下さい。 単純にぶら下げて置くだけですから、ちょっとしたスペースは必要ですが、全く手間もコストもかかりません。

これも医療関係者に対するメッセージです。輸血用血液は輸血する直前まで4℃の冷蔵庫で保存します。 輸血する前に長く室温に放置することは勧められません。 このような場合には、加温装置を使って血液を温めて輸血します。 ただ、400ml程度の輸血であれば、暖める必要はないと言われていますので、状況を判断して実施して下さい。

ついでに、胃内視鏡検査は、苦しい検査のひとつだと言われています。 確かに、あんな棒のようなものを口から突っ込まれて気持ちがいいものではありません。 なぜか、内視鏡は黒です。私も黒以外の内視鏡を見たことがありません。 ある患者さんが、「内視鏡が白だと楽に飲めそうだ」、と言いました。 吐き気は、飲めないものだと決めてかかると強くなるものです。 黒ではなく白いと飲めるのだと思えば、楽にできるのかも知れません。 将来は、青やピンクなど、自分が飲めそうだと思う内視鏡の色を選ぶ時代が来るかも知れません。