医院でのこぼれ話


3月11日の地震の後は停電しました。急いで入院患者さんを自宅に帰しましたが、一人だけちょっと無理かなという人がいました。 帰らない場合にどうするかを相談していた時の会話です。

「舘下さんだと、暗い中でも大丈夫だな」
井上婦長
「舘下さんは、意外と玉が小さいんですよ」

舘下さんは看護師で女性ですので、玉とは肝っ玉のことです。

「じゃあ、どうする?」
井上婦長
「菊池さんに電話しますか?」
「菊池さんは体は小さいけど、文字と玉は大きいんだ」

菊池千枝さんは看護師の中で最も小柄ですが、看護記録の文字は一番大きく、 「菊池さんはボールペンの減り方が他の人たちよりも早いよなぁ」とよく言っているのです。

結局、患者さんは全員帰宅することになり、開院以来初めて誰もいない病棟になりました。当然、菊池さんに電話をする必要もなくなりました。