私の医院は『内科医院』なのですが、転んで膝を擦りむいた、包丁で指を切った、 ネコに咬まれた、などと外傷の患者さんも受診します。 どういう訳か夕方遅く、診療時間ぎりぎりのことが多いのが特徴です。 外科の先生にお願いするのも時間的に迷惑なことを考え、自分で処置してしまうことが大部分です。 犬に咬まれて受診することも、少なくありません。 それも、飼い犬に咬まれて。そして、『狂犬病にならないか・・・・』と心配します。 私もはっきりしたことが分かりませんでしたので、『狂犬病』についてちょっと調べてみました。

日本では犬の数は増加傾向にあり、2004年現在、1,200万頭の犬がいると推定されています。 そのうち、毎年狂犬病の予防注射を受けているのは約50%です。 犬の場合も、注射後に食欲不振などの副作用があり、50~60頭が副作用で死亡しているとのことです。

狂犬病は、欧米を含む世界の大陸で現在も死亡患者が出ています。 世界保健機構(WHO)の報告によると、世界で毎年3万5000~5万人が狂犬病で死亡しています。 日本では、昭和31年以来発生しておらず、撲滅したものとされています。 しかし、昨今のペットブームにより、海外からは、どうしてこんな動物をペットにしたいのだろうと思う爬虫類を含め、 多数のペットが輸入されており、狂犬病ウイルスが紛れ込んでいるかも知れません。

1998年から2000年までの3年間に、ロシア船から計230頭の犬が不法に上陸していたことが稚内保健所によって確認されています。 正規ルートでは、検疫で厳しくチェックされるため、狂犬病ウイルスが上陸する可能性は少ないでしょうが、 営利目的の闇ルートで知らないうちに数多くの検疫を受けない犬が上陸しています。 ですから、検疫を通過していない狂犬病予防法対象の哺乳動物を介して狂犬病ウイルスが持ち込まれ、 日本でも狂犬病が発生する可能性があるということです。

狂犬病ウイルスは犬だけが持っているのではありません。 日本では、輸入時に検査する動物に指定されているのは犬、猫、サル、アライグマ、キツネ、スカンクです。 つまり、狂犬病ウイルスが日本に上陸すると、犬だけでなく、猫にも注意しなければならないということです。 もちろん私は経験ありませんが、狂犬病は発病すると治療法はなく、呼吸障害などが出て、数日のうちに死亡すると言われています。 狂犬病の予防注射をして、ウイルスが上陸しても拡がらないようにするのが、飼い主の義務のようです。

犬を飼い始めた場合の飼い主の手続き

犬の飼主は、犬を飼い始めた日(生後90日以内の犬を飼い始めた場合は、 生後90日を経過した日)から30日以内に、市役所や役場を通じて県へ犬の登録を 申請しなければなりません。 そして、生後90日を経過した犬に毎年1回、狂犬病予防接種を受けさせなければなりません。