コレステロールが高い患者さんに向かって、「太っていいのは相撲とブタだけ」と私は外来で繰り返しています。時々帰ってくる娘につままれる自分の腹のことを頭に浮かばせながら・・・・。

西暦2000年に世界の肥満人口は飢餓人口を超えたという。欧米や日本では、その昔はビタミン不足など何かが足りないために病気になったが、現在はカロリーが余るためにヒトは病気になっています。糖尿病、高脂血症、高血圧症などカロリーが余ることが病気に深く関わる病気は数えればきりがありません。これに対し、病気になればやせることはありますが、やせたためになる病気は数えるほどしかありません。ですから、私は外来で、「太っていいのは相撲とブタだけ」とよく言います。

私たちは糖尿病、高脂血症などの患者さんに向かって毎日体重を減らすように指導しています。 それは体重が多いことでこれらの病気が発症し、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害を来たし生命に関わるからです。そして、これらの病気は体重を制限することでコントロールが可能だからです。

さて、力士は本当に太っていいのだろうか。武蔵丸は体重制限したあたりから強くなり出した。曙は体を持て余していたためか、けがが非常に多かった。相撲協会は力士に対してダイエットするように通達を出したという信じられない話を聞いたことがあるが、相撲の世界でも体重が多過ぎるのはよくないようだ。

昨年は元横綱大鵬が還暦の土俵入りを行った。しかし、還暦横綱は数えるほどしかいない。つまり、60歳前に亡くなることが非常に多いということです。大鵬自身も若くして脳梗塞のために左片麻痺になっています。 アメリカ医師会はボクシングを禁止するように勧告していると聞いています。 日本でも世界タイトル戦は15回戦から12回戦になって久しい。プロボクサーは脳障害を来たすことがその理由であろう。日本では明らかに寿命を縮めていると考えられる相撲をこのまま見ていていいのだろうか。スポーツだから明らかに健康によくない太ることをこのままにし、それを見て楽しんでいていいのだろうか。

太っていいのはブタと相撲ではなく、ブタだけのようです。多分、ブタもただ太っているだけでは商品価値はないのかも知れません。
9月の敬老の日の新聞を見てください。長生きをしているのは恰幅のいい男の人ではなく、きゃしゃなおばあちゃんばかりです。いずれにせよ、ヒトは体重が少ない方が長生きをしそうです。

こんな小文を書いている私は場所ごとに弘前出身の若の里の結果を気にしている。健康を気にしている訳ではない。