平成29年3月4日、弘前市医師会看護専門学校卒業式が行われました。沢田内科医院では准看護学科で勉強していた丸岡美穂子さんが卒業しました。おめでとうございます!丸岡さんは、高校卒業後にしばらく仕事をしてから看護学校に入学しました。何歳とは言いませんが、私の娘のひとつ下です。

丸岡さんは、受付での仕事はもちろん、薬局や処置室での仕事など、注射など資格がなければできない仕事以外は普通にしてきました。内視鏡検査の準備もできますし、通院する皆さんの中には、丸岡さんは看護師だと思っていたかも知れません。

成績優秀な丸岡さんは、昨年12月の推薦入試で、看護学科に進学することが決まっています。これからは准看護師として、日中は沢田内科医院で仕事、夜は看護専門学校で勉強という生活が3年間続きます。鯵ケ沢に近い十腰内から通っているので、多分、朝は6時前には起きて、家に帰ると10時過ぎという生活だと思います。

祝賀会でお礼の言葉を読む丸岡美穂子さん

卒業祝賀会では、学生を代表してお礼の言葉を述べました。自分の体験を基にしての話でしたので、感動的なものでした。できることなら、皆さんにも聞かせてやりたいくらいです。二人で記念写真を撮る時は、ハイヒールを履いていたためか、私よりも背が高かったので椅子に座ってもらいました。まるで、写真スタジオで家族写真を撮る時のような気分でした。何と言っても、私の娘のひとつ下ですからね。


卒業証書授与

1月から学校長になりましたので、私自身にとって初めての卒業式でした。この年になると、緊張するということはないのですが、卒業生にとっては苦しかったこと、楽しかったことが蘇り、達成感を味わう特別な日でした。准看護学科77人、看護学科36人の卒業生一人ひとりに卒業証書を渡しました。出席者は声ひとつ出さず、名前を読み上げる司会の声だけが聞こえる厳粛な会場でしたので、卒業証書は黙って渡そうと思っていました。しかし、実際に卒業証書を手渡す時に卒業生の顔を見ると、一人ひとりに「おめでとう」と声をかけてしまいました。113人にです。

准看護学科の卒業生77人のうち、何と28人が皆勤賞でした。つまり、2年間で1日も休まなかった人がこんなにいたのです。看護学科の学生でも皆勤賞が3人、精勤賞が8人でした。特に看護学科の学生は、日中は准看護師として働き、夕方5時50分から9時まで勉強です。これを3年間も続けるのですから立派なものです。

学校長式辞では、最澄の「一隅を照らす」を引用して話をしました。『照干一隅 此則国宝(しょうかんいちぐう これすなわちこくほうなり)』。「お金や財宝は国の宝ではなく、家庭や職場など、自分自身が置かれたその場所で、精一杯努力し、明るく光り輝くことのできる人こそ、何物にも代え難い国の宝である」という意味です。私はこの言葉を高校1年生の時に、当時の校長から教わりました。

どのような職業であろうとも、どのような社会的地位にあろうとも、生き甲斐を感じながら仕事をしたり生活をすることで、一人ひとりが自分を照らすことができます。そして、それが自然に周囲の人たちの心に伝わり、他の人たちも照らすことになります。その結果、お互いが導き助け合い、やがて社会全体にあたたかい思いやりの心が自然に拡がって行く、これが「一隅を照らす」の真意です。

卒業生に対して、自分の母校に、自分の生き方に誇りを持って、常に考え、一隅を照らしながら歩んで行ってくれることを期待し、不安を感じながらも希望に満ちた門出を祝って学校長式辞としました。