先日、コンビニで賞味期限が迫っている弁当を安売りするのを禁止するのは違法かどうかという裁判がありました。賞味期限が切れそうな弁当を安売りすると弁当自体の値段を維持することができないため、コンビニ本部が加盟店に対して安売りをさせないようにしているのだそうです。その結果、大量の弁当が廃棄されているというのです。日本の食糧自給率は約40%だそうです。つまり、私たちが食べている食糧の60%は海外から輸入しているということです。その貴重な食糧を捨てているのです。

世界人口は65億と言われています。そのうち、アフリカ諸国を初めとして約10億人が慢性的な餓えや栄養失調で苦しんでいると言われています。メタボ健診といって、栄養過多の病気対策を開始したり、大量の食糧を廃棄する日本では、想像もできないことです。捨てられる食糧が日本全体で2200万トンと言われてもピンと来ませんが、1年間に廃棄される食糧は、実際に食べられる食糧の18%に相当するのだそうです。食べ物の2割が捨てられているのです。金額にして10兆円とも言われています。医療費が33兆円ですよ。

それも、ホテルやコンビニなどで大量に捨てられている印象がありますが、実際は、約半分は一般家庭から捨てられているのだそうです。私の恩師の千葉陽一先生は、よく、「もったいない!」と言ってましたが、本当にもったいない話です。

賞味期限が過ぎた食べ物が出回ると、企業では大変な労力と費用をかけて回収します。賞味期限が過ぎたら直ちに健康を害するものではありません。回収するのは企業のイメージを維持するためではないでしょうか。決して、国民の健康を考えて回収するのではないと思います。これももったいない話です。

たとえ、その食べ物が腐敗して食べられなくなったものだとしても、私たちにはそれを察知するセンサーがあります。口であり、鼻であり、舌です。これは、人間が有害なものから自分の体を守る優れたシステムです。これがありますから、食べ物に書かれた日時から判断しなくても、食べられるものと食べられないものは判断できます。餓えに苦しんでいる10億人の人から見ると、舌で判断したのではない賞味期限が切れた食べ物を廃棄するという行為は考えられないことでしょう。何と日本は豊かな国なんだろうか。

食の安全というのは重要なことですが、行き過ぎは考え物です。大腸菌が基準値をちょっと越えたからと大騒ぎする。お菓子の袋に異物が入っていたために、同時期に作ったお菓子をすべて回収する。産地偽装の食べ物をすべて回収する。回収した食べ物は当然すべて廃棄するのでしょう。でも、このような事件で、それを食べたために健康被害が起こったというニュースは聞いたことがありません。つまり、現実には食べても体には危険ではなかったということです。

地球上では多くの人が飢餓状態にあるというニュースと、日本は食糧を大量に廃棄しているというニュースが同時に報道されるのを読んで、食糧自給率が低い日本は、食糧をもっと大切にすべきだと思いました。