ぼんのくぼ(盆の窪)のことで、本来は項(うなじ)の中央のくぼんだ部分であるが、後頭部から頸部にかけ、少し広い部分を指すことが多い。
「ぼのご」の「ぼ」と「の」の間に「ん」がかすかに発音される。この言葉のイントネーションはむずかしく、言葉で書き表すことは不可能だ。

外来患者さんの訴えで多いことのひとつとして頭痛がある。特に肩こりと関連して「ぼのご」を指して頭が痛いと訴える場合が多い。そして、血圧が高くないか心配し、「あだった(脳卒中)」のではないかとますます不安になってくることが多い。確かにくも膜下出血は激しい頭痛に襲われるが、外来で見る頭痛は、筋緊張性頭痛といわれる、頭蓋骨の外側の筋肉の痛みであることが多い。

原因が何であれ頭痛が強くなれば、それだけで血圧は上がる。高血圧性脳症という、血圧が高くなったために頭が痛くなる病気もあるが、むしろ、肩が凝ったり、頭が痛くなった結果として血圧が高くなることが少なくない。「ぼのご」が痛くて血圧が高い時は、どちらが先なのかを見極める必要がある。多くの人たちは「あだる」ことを心配しているので、血圧が高くないことが分かると安心する。どこまでも、血圧、あだり、頭痛は関連している。