医院でのこぼれ話


弘前市と合併する前の相馬村五所には、「相馬診療所」がありました。中村恵彦先生は、診療所が民営化されるのを機会に、「五所の診療所」と新しい名前にしました。私は、「五所の診療所」とは面白い名前にしたものだと思っていましたが、元々、「相馬診療所」と呼ぶ人はほとんどおらず、「五所の診療所」と呼ぶのが普通だったようです。

「中村診療所」などと、中村先生はいろいろ名前を考えたようですが、結局、「五所の診療所」に落ち着いたようです。中村先生の話では、「知名度が今一で、五所川原の診療所と間違えられることも・・・・。」とのことでした。

先日、私の医院に時々受診する成田喜代作さん(仮名、83歳男性)が受診しました。「五所の診療所」で喘息の治療をしていたのですが、朝方に息苦しさがあり、病棟がある私の医院を受診したのでした。

私の医院では、患者さんから看護婦が予めお話を聞き、その後で私が診察します。その日の当番は菊池千枝さんでした。菊池さんは、大鰐から通っていて、相馬には五所という地名があることは知っていました。菊池さんが成田さんから話を聞いていた時のことです。私は別の患者さんのカルテを書きながら、この会話を陰で聞いて、「これは、ニュースレターのネタになる!!」と瞬間的に思いました。その時の会話です。

成田さん
「薬飲んでらばって、朝方になれば苦しぐなる。」
菊池さん
「どこで、薬もらってるの?」
成田さん
「五所の診療所。」
菊池さん
「どこの診療所??」
成田さん
「五所の診療所。」
菊池さん
「どこの診療所???」
成田さん
(まったく同じ口調で)「五所の診療所。」
菊池さん
「名前は?」
成田さん
「わのな?」(標準語にすると、「私のですか?」)

私はここで、吹き出してしまいました。一緒にいた三上理嘉子さんは、笑いをこらえてどこかに消えてしまいました。